4書体の数字の見本です。画像ではなく Web フォントなので、文字を書き換えて試せます。
ダウンロード
OTF・WOFF・WOFF2 を GitHub で公開しています。release フォルダーのファイルを開き、Download ボタンからダウンロードできます。ライセンスは SIL Open Font License で、無料で使えます。

GitHub - jz5/fonts-vfdigit: Fonts that imitates the vacuum fluorescent display (VFD) around 1970.
Fonts that imitates the vacuum fluorescent display (VFD) around 1970. - jz5/fonts-vfdigit
- 2021年10月29日: 各書体 Ver.0.1 を公開
蛍光表示管(VFD)とは
蛍光表示管は、1966年に伊勢電子工業(現・ノリタケ伊勢電子)の中村正らが発明した日本発の表示技術です1。
電卓の表示には、それまで米国製のニキシー管が使われていました。1967年12月、シャープ(当時は早川電機工業)が蛍光表示管を初めて搭載した電卓「CS-16A」を発売し2,3、その後の「電卓戦争」の時代に電卓の表示部として広く使われるようになりました1。需要が急増すると、伊勢電子工業は VFD の特許を日本電気(NEC)と双葉電子工業にライセンスし、両社も VFD を生産しました3。
VFDigit は、この時代の電卓の VFD に表示された数字の書体を模しています。書体ごとに、元になった VFD のセグメント(数字を形づくる発光部分)の数と配置が異なります。
VFDigit 9A
シャープ(当時は早川電機工業株式会社4)が1967年12月に発売した電卓「COMPET 16(CS-16A)」5 などで使われた VFD「DG12B」を模したフォントです。DG12B は伊勢電子工業が最初に量産した VFD で、早川電機工業は1967年9月に CS-16A への採用を決めました3。日本電気製や双葉電子工業製の同等の VFD
数字部分は 9セグメントで、「4」のときにしか点灯しないセグメントがあります。
- カンマと小数点(ピリオド)は、数字と組み合わせたときに合字(リガチャー)となり、VFD と同じ位置に表示されます。
- セグメントをすべて点灯したグリフを私用領域の U+E000 に、セグメント a〜i を U+E001〜U+E009 に割り当てています。
「6」には別の形も用意しています。OpenType の文字異体(Character Variant)の cv01 を有効にすると切り替わります。上が通常の形、下が cv01 の形です。
この書体に魅せられて、LED で再現しようとしている人もいるようです(Beautiful Display | Hackaday.io)。
参考情報
- COMPET 16(CS-16A): Sharp’s early desktop calculator | 電卓博物館(サイト閉鎖のため Internet Archive の保存版)
- COMPET CS-221(DG10B): Radiotech modding labs: VINTAGE CALCULATORS
- 蛍光表示管、DG10B | 電子工作の部屋
VFDigit 8A
シャープの電卓「EL-8(通称 ELSI-8)」などで使われた VFD を模したフォントです。EL-8 の発売時期は、資料によって1970年7とも1971年初頭8ともされています。VFD は伊勢電子工業の Itron「DG10L」です7。「DG10L2」という型番の同型
数字部分は 8セグメント8で、DG12B の 9セグメントから「4」専用のセグメントがなくなっています。DG12B より小さい VFD で、同じ大きさにそろえると少し太い書体になっています。
- 元の VFD にはカンマ付きのものはないようですが、VFDigit 9A と同じカンマのグリフを収録しています。
- 小数点(ピリオド)とカンマは、数字と組み合わせたときに合字となり、VFD と同じ位置に表示されます。
- セグメントをすべて点灯したグリフを私用領域の U+E000 に、セグメント a〜h を U+E001〜U+E008 に割り当てています。
VFDigit 9A と同じく、「6」の別の形を cv01 に割り当てています。上が通常の形、下が cv01 の形です。
参考情報
VFDigit 7A
1969年に発売されたオムロン(当時は立石電機株式会社10)の電卓「OMRON 1210」11 などで使われた VFD の書体を模したフォントです。OMRON 1210 の表示管は手書き風の独特な書体で、オムロン独自のもの(オムロン製かもしれない)とされています12。
VFDigit 7A は、VFD「DG10H」(NEC 製13)の書体を元にしています。Old Calculator Web Museum に載っている OMRON 1210 の写真12 では表示管に「123456789012」が表示されていて、DG10H の数字と見比べると同じ形に見えます。ただし、OMRON 1210 の表示管が DG10H だったのか
数字部分は 7セグメントですが、一般的な 7セグメントとは配置が異なります。
- 小数点(ピリオド)は、数字と組み合わせたときに合字となり、VFD と同じ位置に表示されます。
- セグメントをすべて点灯したグリフを私用領域の U+E000 に、セグメント a〜g を U+E001〜U+E007 に割り当てています。
参考情報
- CALCUSEUM OMRON: 1210 (version-1)
- WANTED - Omron 1210 Desktop Calculator | The Old Calculator Web Museum
- OMRON desktop calculator | 電卓博物館(サイト閉鎖のため Internet Archive の保存版)
- 蛍光表示管、DG10H | 電子工作の部屋
VFDigit 7B
VFD の DG12H・DG12H1・DG10A の書体を模したフォントです。いずれも伊勢電子工業(Itron)製です14,15,16。一般的な 7セグメントと同じ配置で、斜体になっており、上端と下端のセグメントの左端が湾曲しているところが特徴です。
数字のほか、7セグメントで表現できる英字と記号も収録しています。英字は Seven-segment display character representations、記号は Seven-segment display を参考に割り当てています。
- 小数点(ピリオド)は、数字と組み合わせたときに合字となり、VFD と同じ位置に表示されます。
- 「=」は上付き文字(OpenType の sups)にすると上付きの「⁼」になります。
- セグメントをすべて点灯したグリフを私用領域の U+E000 に、セグメント a〜g を U+E001〜U+E007 に割り当てています。
「0」「1」「6」「7」「9」と小文字「i」には別の形も用意していて、cv01 を有効にすると切り替わります。上が通常の形、下が cv01 の形です。
参考情報
プロ生ちゃんの X(旧 Twitter)アカウントに、VFD 単管時計の投稿があります。
VFD単管時計 — プロ生ちゃん(暮井 慧)(@pronama) 2021年11月1日
資料
VFDふぁんから、DG12B・DG10B のカタログと写真をいただいたので公開します。
写真の大きい VFD が DG12B で、小さい方は類似した書体の VFD(型番不明)です。写真提供: VFDふぁん(画像をクリックすると原寸で開きます)
制作について
作ってみましたが、VFD の実物はそれなりの大きさ(2cm 前後)があるためか、PC で通常の文字として表示するには細く小さくなってしまいます。また、昔の電卓に使われていた書体という背景を共有していないと、意味の分からないフォントだと思います。デザインが微妙なところもあるので、気が向けばアップデートするかもしれません。
次のような資料を提供していただける方は、GitHub の Issues でお知らせください。
- 関連する電卓の写真
- 実物の VFD のセグメントの形が分かる高解像度の写真
- 「出典調査中」の印を付けた記述の出典
出典・注
-
蛍光表示管 - Wikipedia(2026年9月23日閲覧) ↩ ↩2
-
シャープ ALL IC コンペット CS-16A | 産業技術史資料データベース(国立科学博物館 産業技術史資料情報センター。「表示素子を、従来一般的であった米国製のニキシ管に替え、国産技術である新開発の蛍光表示管を初めて採用した」) ↩
-
Milestones:Vacuum Fluorescent Displays, 1967 | Engineering and Technology History Wiki(IEEE マイルストーン。2026年9月23日閲覧) ↩ ↩2 ↩3
-
シャープ - Wikipedia(「早川金属工業・早川電機工業時代」の節。2026年9月23日閲覧) ↩
-
Sharp’s early desktop calculator | 電卓博物館(Internet Archive の2021年1月13日の保存版) ↩
-
EL-8 - Wikipedia(2026年9月23日閲覧) ↩ ↩2
-
「DG10L2」を使った蛍光表示管の時計キットが販売されていた形跡があります(商品説明では、VFD は双葉電子工業製)。ただし、2026年9月23日の時点で確認できたのは、元の販売ページを複製したとみられる偽の通販サイトだけで、元のページは見つかっていません。 ↩
-
OMRON desktop calculator | 電卓博物館(Internet Archive の2021年10月28日の保存版) ↩
-
CALCUSEUM OMRON: 1210 (version-1)(「Year: sep-1969」「Display: Type = Tubes: ITRON」) ↩ ↩2
-
WANTED - Omron 1210 Desktop Calculator | The Old Calculator Web Museum(「It seems that the display tubes used in the Omron 1210 were unique to Omron (perhaps manufactured by them)」。表示管が点灯した OMRON 1210 の写真がある) ↩ ↩2
-
蛍光表示管、VFD | 電子工作の部屋(VFD の一覧ページ。「DG10H (NEC)」) ↩
-
Ziffern- und Zeichenanzeigen - VFD-Anzeige DG12H(「Die VFD-Anzeigeröhre DG 12H von Iseden」) ↩
-
File:DG12H1.jpg | Wikimedia Commons(「Manufactured by Noritake Itron Corporation Japan, 1970s」) ↩
-
蛍光表示管、VFD | 電子工作の部屋(VFD の一覧ページ。「DG10A (ISEDEN)」) ↩






