マイクロキャビンは、1980年8月に大矢知直登氏が、家業の大矢知デンキのマイコン部として始めた。1981年11月に、四日市市三栄町にパソコンショップとパソコン教室の「マイクロキャビン四日市」を開いた12。1982年の販売店の調査票では、取扱の4割がパソコン(周辺機器を含む)、3割がソフト・システム開発、残りがソフトの販売(18%)、書籍・雑誌(5%)、講習・出張料(5%)など。力を入れる機種は MZ-2000・MZ-1200・PC-8801・PC-6001 としていた3。

『月刊マイコン』1982年6月号の広告4で、社名はすでに MICR 書体のカタカナ。「四日市」も同じ作りで、数少ない MICR 書体漢字の作字の一例になっている。

この号の広告で、オリジナルのアドベンチャーゲーム『ミステリーハウス』(MZ-80B 用の FD 版)を出している。8月号の広告5には、MZ-80B 用のカセット版(5,200円)が加わった。

MZ-80B 用のカセット版のラベルには、英字の「MICRO CABIN」が入っている67。現存するカセットがいつ作られたものかは不明だが、カタカナと英字の両方のロゴが、早くから用意されていたとみられる。同じデザインのラベルは、『ザ・ゴルフ』のパソピア版のカセットにもある8。『ザ・ゴルフ』のパソピア版は、『月刊マイコン』1982年12月号の広告9の時点で「発売中」となっている。

1982年11月に法人化し、株式会社マイクロキャビンになった(資本金1,000万円)110。広告の社名は、『月刊マイコン』1983年1月号11まで「マイクロキャビン四日市」で、2月号12から、社名の左にシンボルマークを付けた「㈱マイクロキャビン」になる。株式会社になり、このシンボルマークが加わったとみられる。

1983年5月にシンボルマークを13、1984年10月にカタカナのロゴを商標に出願し、いずれも登録され、現在も存続している。英字の「MICRO CABIN」も1989年に出願しているが、見本は MICR 書体の英字ではなく、ゴシック体の文字15。

1980年代から1990年代にかけて、『めぞん一刻』『うる星やつら』『サーク』など、パソコンのゲームを数多く出した11016。現在はフィールズの完全子会社で、アミューズメント用のソフトの企画・開発をしている17。

カタカナのロゴは、少しずつ形が変わっている。

1982年から1987年ごろまでは、キとャの縦画が垂直で、ビの横画は水平。1982年の『月刊マイコン』の広告の「マイクロキャビン四日市」と、1987年2月の『カーマイン88』の箱18の社名は、同じ字形。

1987年の後半からは、キとャの縦画が斜めになり、ビの横画も右上がりの斜めになった。ャの右の部分の内側の段も、急な斜めからゆるい斜めに変わっている。確認できたいちばん古い例は、1987年7月の『うる星やつら』(X1)の箱19。

遅くとも1994年には、ャが大きくなった。1994年6月の『英雄志願』(PC-9801)の箱20で確認できる。

遅くとも1998年には、字全体が縦長から正方形に近くなり、ビの濁点も正方形に近くなった。1998年1月の『ヌーン』(Windows)の箱21で確認できる。

公式サイトでは、2023年までカタカナのロゴが主に使われ、2024年のリニューアルからは英字のロゴが主に使われている22。

ロゴの形が変わった時期を、さらに調べています。特に1992〜1997年のマイクロキャビンの製品のパッケージの画像や、発売日の典拠になる当時の雑誌の記事・広告などがあれば、お知らせください。ほかの年代のものも歓迎します。

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  1. 「会社沿革」株式会社マイクロキャビン(2026年10月3日閲覧) ↩ ↩2 ↩3

  2. 「株式会社マイクロキャビン創業者 / 大矢知直登」Plus 三重(2021年7月29日) ↩

  3. 「マイクロキャビン四日市」(矢野経済研究所『パーソナルコンピュータの市場実態と中期予測』矢野経済研究所、1982年11月)p.230。販売店の調査票。国立国会図書館デジタルコレクション ↩

  4. 『月刊マイコン』1982年6月号(電波新聞社)p.496 ↩

  5. 『月刊マイコン』1982年8月号(電波新聞社)後付 p.34。同じ広告が9月号の後付 p.16 にもある ↩

  6. 「SHARP MZ-80B ミステリーハウス … マイクロキャビン MYSTERY HOUSE」オークファン(ヤフオク!の出品の記録。2021年12月) ↩

  7. 「SHARP MZ-80B カセットテープ版 ミステリーハウス I MICRO CABIN マイクロキャビン」オークファン(ヤフオク!の出品の記録。2026年10月) ↩

  8. 『ザ・ゴルフ』(マイクロキャビン、パソピア版)のカセット。画像は Internet Archive にあるスキャンから

    『ザ・ゴルフ』のカセット。白いラベルに PROGRAM「ザ・ゴルフ」、MODEL「PA7010」。右下の斜めの黒い帯に、赤い字で「MICRO CABIN」 ↩

  9. 『月刊マイコン』1982年12月号(電波新聞社)p.436 ↩

  10. 「株式会社マイクロキャビン」(マイクロデザイン 編『ソフトハウス・イン・ジャパン 1988』マイクロデザイン、1988年1月)p.567。国立国会図書館デジタルコレクション ↩ ↩2

  11. 『月刊マイコン』1983年1月号(電波新聞社)p.441 ↩

  12. 『月刊マイコン』1983年2月号(電波新聞社)p.455 ↩

  13. 商標登録第1853466号(商願昭58-48373、1986年4月23日登録)・第1921032号(商願昭58-48374、1986年12月24日登録)。出願は1983年5月25日、権利者は株式会社マイクロキャビン ↩

  14. 商標登録第2499736号(商願平1-86305、1993年1月29日登録)・第4222147号(商願平1-86304、1998年12月18日登録)。出願は1989年7月27日 ↩

  15. 「企業紹介 株式会社マイクロキャビン」『HRI report』18号(百五総合研究所、1990年7月)pp.10–11。国立国会図書館デジタルコレクション ↩

  16. 「会社概要」株式会社マイクロキャビン(2026年10月5日閲覧) ↩

  17. 『カーマイン88』(マイクロキャビン、PC-8801mkIISR 用、1987年2月)の箱。発売年月は公式サイトの制作作品リストから ↩

  18. 『うる星やつら ~恋のサバイバル・バースディ~』(マイクロキャビン、X1 用、1987年7月)の箱。発売年月は公式サイトの制作作品リストから ↩

  19. 『英雄志願 Gal Act Heroism』(マイクロキャビン、PC-9801 用、1994年6月)の箱 ↩

  20. 『ヌーン』(マイクロキャビン、Windows 95 用、1998年1月)の箱。発売年月は公式サイトの制作作品リストから ↩

  21. 株式会社マイクロキャビンの公式サイト(2004年1月、2023年12月、2024年4月)。Internet Archive の Wayback Machine の記録 ↩