• 書体名: CMC-7(資料によって CMC7、CMC 7 とも書く)
  • 開発: フランスのコンピューター会社 Machines Bull1
  • 種類: MICR(磁気インク文字認識)の書体。数字10字、記号5字、英字26字の41字23
  • 規格: ECMA(European Computer Manufacturers Association、ヨーロッパ電子計算機工業会)の ECMA-3(1964年4月、第2版は1966年9月)45。国際規格は ISO R 1004-1969 にはじまり6、いまは ISO 1004-2(2013年)7。文字の符号は ECMA-19(1969年)8と ISO 20339

Xerox の解説は、1964年9月からフランスの公式の規格になっているとする1。

MICR の仕組みの全体と、もう1つの MICR 書体 E-13B との比較は MICR の記事にまとめる。

CMC-7 は、フランス語の caractères magnétiques codés à 7 bâtonnets(7本の棒で符号化した磁気文字)の略。1959年に発表したときの名前は CMB で、のちに改良して CMC-7 に改めた4。ブラジルの中央銀行の決議も、ポルトガル語で「Caracteres Magnéticos Codificados em Sete Barras(CMC-7)」と書いている10。

1950年代、銀行は手書きの小切手の処理を機械にさせようと、さまざまな方法を試していた。1955年には IBM と Bull が磁気の符号の案を出したが、どちらも人が目で読めるという問題は解決していなかった11。

Bull の OB 団体 FEB の資料によれば、CMC-7 は1960年3月から銀行クレディ・リヨネ(Crédit Lyonnais)で試験された。最初の版は棒の幅を変えて符号を表す方式だったが、インクの付き方の許容差の問題でうまくいかなかった(1960年3月〜10月に F5 ソーターで試験)。最終版は、幅の決まった棒のあいだの間隔を変える方式になり、1961年1月にクレディ・リヨネで使われ始めた11。

CMC-7 の年代は、次のとおり。

年 できごと
1955年 IBM と Bull が磁気の符号の案を出す(Bull は棒による「2/6」の符号)11
1959年 Bull が磁気インク文字「CMB」を発表4
1960年3月 クレディ・リヨネで試験が始まる。最初の版(棒の幅を変える方式)は10月までに失敗11
1961年1月 最終版(棒のあいだの間隔を変える方式)がクレディ・リヨネで使われ始める11
1961年 REA(Réunion Européenne d’Automatisme)の下に CNET(Centre National d’Études des Télécommunications、フランス国立電気通信研究センター)の専門家の委員会ができ、CMC-7 と E-13B を比べる12
1962年 ECMA が MICR の作業部会を作り、9月に予備報告5
1963年 REA が、CMC-7 の機器を開発するようメーカーに勧告4。第4回 REA で、ヨーロッパの磁気文字は CMC-7 に正式に決まる12
1964年4月 ECMA の総会が ECMA-3(第1版)を採択45
1964年9月 フランスの公式の規格になる1
1965年 ISO 東京大会で、ほぼ採用されることが確実になる13。日本の雑誌が Bull-GE の CMC-7 のリーダー・ソーターを紹介14
1966年9月 ECMA-3 第2版5
1969年 ISO 勧告 R 1004-1969(E-13B と CMC-7 の2部)6
1969年6月 ECMA-19 で文字の符号を定める8
1983年 ISO 2033 第2版(第1版は1972年)9
2013年 ISO 1004-2(ISO 1004:1995 に代わる)7

ECMA の文字認識の委員会は、1962年に MICR の作業部会を作り、同じ年の9月に予備報告を出した。ヨーロッパの銀行団体の決定を受けて、CMC-7 の仕様をまとめるための技術委員会 TC 7 が作られた。TC 7 には Bull、IBM、NCR、ICT、Olivetti、Sperry Rand、Telefunken など9社が加わり、AFNOR(フランス規格協会)、ISO、REA、Club CMC7 とも協力した5。

1961年には、ヨーロッパの自動化の団体 REA の下で、フランスの CNET の専門家の委員会ができ、フランスのクレディ・リヨネ、ベルギー・オランダの銀行、ドイツのハンブルク郵便局、イタリアの銀行などの CMC-7 の実験資料をもとに、E-13B と比べた12。1963年には REA が、CMC-7 の機器を開発するよう、すべてのメーカーに勧告し、第4回 REA で、ヨーロッパの磁気文字は CMC-7 に正式に決まった412。

TC 7 の仕様は1964年4月に ECMA の総会で採択され、規格 ECMA-3 になった。ドイツとイタリアが、ISO の情報処理の技術委員会(TC97)の分科会 SC3 に提出し、フランスの提案で少し修正したうえで、MICR の印字仕様の最初の原案(First Draft Proposal)に入った4。

坂井利之の論文(1965年)は、Machines Bull の提案が ECMA で標準になり、ISO でも国際標準として提案されていると書いている15。関口茂の解説(1968年)によれば、1965年の ISO 東京大会で、CMC-7 がほぼ採用されることが確実になった13。

ECMA-3 の第2版(1966年9月)は、ISO の MICR の勧告案に完全にそろえたもので、1964年4月の第1版に代わった5。ISO では、1969年に勧告 R 1004-1969 になった。E-13B と CMC-7 の2部からなる6。

1969年6月の ECMA-19 は、CMC-7 の数字と記号の15字(numeric subset)と、英字を含む41字に、それぞれ符号を割り当てた8。ISO 2033 の第2版(1983年)も、ISO 1004 の CMC-7 の文字に符号を割り当てている(第1版は1972年)9。Unicode には、E-13B の4つの記号はあるが(U+2446〜U+2449)、CMC-7 の5つの記号はない16。

その後の改訂と、いまの国際規格の一覧は、MICR を参照。

CMC-7 の1字は、7本の縦線と、そのあいだの6つの間隔でできている。7本の線を、ふつうの文字の形に切り抜いてある17。

間隔は「長い」(0.50 mm)と「短い」(0.30 mm)の2種類で18、その組み合わせで文字を表す。

  • 数字と記号: 長い間隔2つと短い間隔4つ。組み合わせは15通りで、数字10字と記号5字に割り当てる17
  • 英字: 長い間隔が1つか3つ。組み合わせは26通りで、英字26字に割り当てる17

6つの間隔から長い間隔を2つ選ぶ組み合わせは、ちょうど15通りある。長い間隔を「1」、短い間隔を「0」と読めば、6ビットのうち2ビットが1の符号になる。長い間隔が2つでなければならないことは、数字と記号の検査(パリティ)にもなっている19。

坂井利之の論文(1965年)は、次のように説明している15。

ECMA-3 第1版の解説(1964年12月)は、字形と符号の割り当てで考えた基準を挙げている20。

  • 数字と記号は、180°回した形が別の字に似るのは、回した符号がその字の符号と同じになるときのみにする。上下逆さまに印字された字を、人と機械が別の字に読まないようにするため
  • Z や S のように180°回しても同じに見える英字は、形をわざと非対称にして、印字の向きを間違えにくくした
  • ヨーロッパの言語でよく使う英字には長い間隔が1つの符号を、あまり使わない英字には長い間隔が3つの符号を割り当てる。字と字のあいだの長い間隔が欠けたときの読み誤りは、長い間隔が3つの字で起こりやすいため
  • 線はなるべく字の上端から下端までのばす。字が欠けたり上下にずれたりしても読めるようにするため

1966年の小沢暢夫の解説は、線の間隔の符号は人には読めないので、線を普通の文字に似せて切り抜いて字にした、と説明し、「この原理を応用すれば 将来カナモジの構成が可能になる」と書いている19。

字幅(いちばん外側の2本の線のあいだ)は、長い間隔の数で決まる。長い間隔が1つの字は 2.0 mm、2つの字は 2.2 mm、3つの字は 2.4 mm2122。

  • 数字と記号: どれも長い間隔が2つなので、字幅は 2.2 mm にそろう
  • 英字: 長い間隔が1つの字は 2.0 mm、3つの字は 2.4 mm で、字幅はそろわない

Xerox の解説は、E-13B とは異なり CMC-7 の文字はすべて同じ幅だとしている。Xerox が扱っているのは数字と記号の15字で、同じ段落でも、どの字も長い間隔2つと短い間隔4つでできていると書く23。すべて同じ幅というのは、この15字のことで、英字には当てはまらない。

字幅とは別に、文字送り(隣り合う字の右端の線どうしの間隔)が決められている。文字送りは 3.17 mm まで小さくでき(1インチに8字まで)、隣の字とのあいだは、右の字の長い間隔が1つか2つなら 0.67 mm 以上、3つなら 0.50 mm 以上あける2124。

5つの記号は、MICR ラインの欄の始まりや終わりを示す25。

記号 役割(Xerox の説明)
S-1(Internal) 銀行の内部の情報(口座番号など)の始まり
S-2(Amount) 金額の欄の始まり
S-3(Terminator) ルーティング情報の終わり
S-4 Xerox は使わないとする。ISO・ECMA の付属書は、英字を含む欄の前に置く記号(S IV)としている
S-5(Routing) ルーティング番号。E-13B の Transit 記号にあたる

記号の番号は、資料によって2と3が入れ替わる。Xerox の解説書は、上下に分かれた形を S-2(Amount)、段の形を S-3(Terminator)とする25。ECMA-3 の字の図面では、記号は右上がりの形、段の形、上下に分かれた形、左が上下に分かれた形、山形の順に並んでいる26。図面に番号は書かれていないが、この並びを S I〜S V の順と考えると、段の形が2番目、上下に分かれた形が3番目で、Xerox の S-3(Terminator)と S-2(Amount)にあたる。

ISO 1004-2 の付属書は、英字を含むことがある欄の前には S IV を、数字のみの欄の前には S I・S II・S III・S V を置く、という使い方を示している27。同じ規則は ECMA-3 第2版(1966年)の付属書 A にもある。

この規則は、英字を含む欄と数字のみの欄が混じるときに、数字のみの欄では、どの字にも長い間隔が2つあることを確かめられるようにするためのもの。欄がすべて数字のみのときや、数字のみの欄がないときは、記号の使い方に制限はない28。

  • 字高: 3.20 mm、3.00 mm、2.85 mm、2.70 mm の4種類17。当初は 3.17 mm(のちに 3.2 mm に丸めた)の1種類だったが、ラインプリンターの回転ドラムに収まる最大の 2.70 mm を加え、そのあいだに2つの大きさを足した29
  • 線の幅: 0.10〜0.19 mm18
  • 文字の傾き: 1°30′ まで18
  • 印字する帯: 高さ 6.4 mm、下端は用紙の下端から 4.8 mm30
  • クリアバンド: 用紙の下端から 16 mm。同じ書類のクリアバンドに CMC-7 と E-13B を混ぜてはいけない。CMC-7 は用紙の表のみに印字する30
  • 印字する帯の左右の余白: 左 4.0 mm 以上、右 6.0 mm 以上31

小沢暢夫(1966年)は、CMC-7 の読取装置には2行の印字を読めるものがあるので、1行用(用紙の下端から 16 mm)と2行用(28.6 mm)の2つのクリアバンドが決められていると紹介している。1インチ8字で2行に印字すると、長さ 210 mm の書類に約126字を印字できる19。

読み取りは、隣り合う線のあいだの間隔の長さを見分けて行う。線は磁気で検出する30。磁化した文字をヘッドが読むと、線の右端と左端でそれぞれ極性の異なるパルスが出て、1字で14個のパルスが交互に並ぶ32。

関口茂の解説(1968年)は、CMC-7 の読み取りを「2 out of 6 符号パルスとして識別される」と説明している13。

坂井利之の論文(1965年)には、ドイツの郵政省が E-13B・CMC-7・CZ13 の読み取りを比べた表があり、100万字あたりの読み取りの誤りは、E-13B が 2.20〜51.46(機種による)、CMC-7 が 0.65 だった15。

磁気の読み取りの仕組みは、MICR を参照。

E-13B は、字ごとに異なる磁気の波形の形で字を見分ける。1965年の坂井利之の論文は、GE の方式として、14字の標準の波形との相関をとり、いちばん値の大きいものを選ぶ方法を紹介している33。これに対して CMC-7 は、線のあいだの間隔が長いか短いかだけを見分ければよく、字は6ビットの符号として読める1317。

Bull の OB 団体 FEB の資料は、ヨーロッパで CMC-7 が検討されたときの E-13B の欠点として、数字のみであることと、印刷の許容差が厳しいことを挙げている。英国 EMI の FRED(5本の太さの異なる縦の帯で字を表す)は、冗長さがなく、やはり数字のみだった11。CMC-7 自身も、線の幅で符号を表した最初の版は許容差の問題で失敗している(開発の経緯を参照)。

読み取りの誤りも、ドイツの郵政省の比較では CMC-7 のほうが少なかった(読み取りを参照)。ただ、米国は1958年にすでに E-13B を採用していて6、ヨーロッパが CMC-7 に決めたのは1963年だった。2つの書体は、それぞれの地域で使われ続けている(使われている国と用途を参照)。

Xerox の表(2003年)で CMC-7 の欄に印があるのは、アルゼンチン、ブラジル、チリ、エクアドル、ペルー、ウルグアイ、ベネズエラ、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、オランダ、イタリア、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、イスラエル、日本34。

日本の手形・小切手の MICR は E-13B で、日本語の資料には、日本の手形・小切手で CMC-7 を使った記述はない。機械で読む文字の符号を定めた JIS X 9010(1984年)も、MICR の文字は E-13B のみで、CMC-7 は入っていない35。

関口茂の解説(1968年)の性能表では、Bull の読取装置 MR-20(関口の表では MR/20)は CMC-7 と E-13B の両方を読めた13。MR-20 は、クレディ・リヨネから5台を受注したほか、メキシコ・ナショナル銀行など数行から受注していた14。

ブラジルでは、1983年12月の中央銀行の決議(Resolução 885)が、小切手などの銀行の書類の磁気文字の標準を CMC-7 とし、ECMA の規格のどれを使ってもよいが、1インチ(25.4 mm)に8字、1字 3.175 mm の間隔を守るよう定めた。磁気文字の中心線は、用紙の下端から 8.00 mm10。

フランスの銀行標準化委員会 CFONB(Comité Français d’Organisation et de Normalisation Bancaires)の手引き(2012年)によれば、企業が自分で刷る小切手(lettres-chèques)の CMC-7 の行は、小切手番号・銀行間の符号・口座の符号の3つの欄に限り、金額の欄は、小切手を受け取って取り立てる銀行が刷る。CMC-7 の文字の規格は NF Z63-00136。

小切手のほかに、旅行小切手にも使われた。小沢暢夫(1966年)は、CMC-7 で印字した例として、イタリアの Credito Italiano の旅行小切手(見本)の写真を載せている19。

1963年の『事務と経営』の藤井修の記事は、フランスの銀行(クレディ・リヨネ)で使っている磁気インク文字として CMC-7 の数字の図を載せ、ヨーロッパでも磁気インク文字の利用が進んでいると書いている37。

『Computer Report』1965年7月号は「BULL−GE, CMC−7 リーダー・ソーターを開発」という記事で、三菱事務機械販売に入った情報として、Bull-GE が銀行の小切手の処理用に CMC-7 のドキュメント・リーダー MR-20 を発表したことを伝えた。見出しには「三菱事務機械で輸入販売を検討」とある14。

記事は、CMC-7 にはすでにラインプリンター、リーダー、リーダー・ソーターなどがあり、銀行以外の分野にも広がっていると書く。データを集める手法として郵便口座・宝くじ・市場調査などに、また請求業務や製造業の工程の確認などのターン・アラウンド・システムにも CMC-7 が取り上げられているという。CMC-7 は、Bull 社が開発した MICR にも OCR にも使えるデジタルなコードで、読み取りの誤りがないことと、コードの数が多いことで知られている、と紹介している14。

1968年には、玄地宏と藤島正義の記事も、CMC-7 に触れている。玄地宏は、MICR の国際標準として E-13B と CMC-7 の2つの字体があるが、特殊なインクが要り、印刷の許容差も厳しいので書類のコストが上がり、改竄を嫌う銀行以外ではほとんど使われていないと書いている38。藤島正義の記事は、次のように説明している39。

藤島正義の記事は記号を4つとしているが、ECMA-3 と ISO 1004-2 では5つ23。この記事の図2「磁気インク文字 CMC7」には、数字と英字などの見本が載っている39。

デザインの本では、水谷元彦・真覚静子『基本レタリング』(1976年。1987年版・1990年の改訂版は真覚静子)が、「コンピュータ文字」の頁に「MICR-CMC7 フォント」として数字と英字の見本を載せている(1990年の改訂版まで同じ図版)40。『タイポグラフィ・ハンドブック』(2012年)は「OCR/MICR(自動文字認識)」の項で、MICR の専用書体として「Bull 社が開発した CMC-7」を挙げる41。

英国の Monotype の1968年12月の見本「Electronic Reading Founts」は、CMC-7(Compagnie des Machines Bull)の4つの字高のうち、3.2 mm の F1613 と 3.0 mm の F1952 の2つを、10ポイントの Monotype の母型として載せている。送り(1字あたりの幅)は .125インチ(1インチに8字)。F1952 に合わせた英大文字の母型 L289 もあった42。Fonts In Use によれば、ドイツの Berthold は写植機 Diatype 用に、E-13B と、英大文字のある CMC-7 を収めた書体を出していた43。

イタリアのオリベッティは、1964年に磁気文字の印字機 CMC7-7004 を出した。デザインはマリオ・ベリーニで、同じ年のコンパッソ・ドーロ賞を受けた44。

小沢暢夫(1966年)は、磁気活字を付けた MICR タイプライターとして、フランスの Société de Mécanographie Japy の Japy S 29 を紹介している。2段シフトのタイプライターで、シフトを切り替えて、CMC-7 の英字、数字、5つの記号を印字できた45。

日本でも、CMC-7 を印字できる機械が販売されていた。1969年の『ビジネスマシンダイジェスト』は、西ドイツのオリンピアの OCR-MICR 簿記会計機と OCR/MICR タイプライター(販売はクスダ事務機。MICR の字は「CMC 7」)や、イタリアのオリベッティの MICR オールフィールド エンコーダー(販売は日本オリベッティ。「CMC 7」と「E 13 B」)を載せている46。

レーザープリンターで小切手を刷るための MICR フォントには、CMC-7 のものもある。Xerox の MICR フォントは、PCL(Printer Command Language)で呼び出すと、CMC-7 は 8.00 CPI(1インチに8字)・9.06ポイントの固定幅のフォントとして扱われる(E-13B は 9.00ポイント)47。

MICR プリンターを作る TROY も、E-13B と CMC-7 のフォントを MICR プリンターに付けている48。

IDAutomation の MICR CMC-7 フォントは、ISO 1004:1995 の仕様に合わせて作られ、数字10字と5つの記号を収める。プリンターの濃さに合わせて、幅を狭めた版も付いている49。

小切手の印字用のフォントで、無料で使えるものもある。Barcodesoft の CMC7 は、「CMC-7 で小切手を印字したい人のためのフォント」として、ISO 1004(第3版、1995年)に従って作られた。GPL のもとで、業務・個人とも無料で使えるとしていて、Barcodesoft のページと GitHub で配布している。読み取らせるには、磁気インクで印字する必要がある50。

規格の4つの字高に合わせて、CMC7 I(3.20 mm)、II(3.00 mm)、III(2.85 mm)、IV(2.70 mm)の4つの版がある。数字・記号・英字の41字を収め、5つの記号は ! @ # $ % の位置に入っている50。

字形は規格どおりに作られている。数字 0〜9 の間隔の並びは ECMA-3 の図とすべて一致し、長い間隔と短い間隔の比も 0.50 対 0.30。4つの版の字高の比と、数字の字幅(2.2 mm の字幅に線の幅を足した値)も、規格の寸法のとおりになっている。

なお、フォントの中の著作権表示は「(c)Copyright Barcodesoft 2004-2005, All rights reserved.」(版1.00、2006年)のままで、使用許諾も Barcodesoft のものを指していて、配布ページの GPL の表示とは食い違っている51。

小切手の印字用とは別に、CMC-7 の字形を写した書体もある。

Linotype のデジタル版。MyFonts で販売している52。

Masterfont のデジタル版。Fonts In Use が、CMC-7 のデジタル版として挙げている43。

Harold Lohner が1998年に作ったフリーのフォント。作者がパブリックドメインにしたもの53。

付属の説明書きによれば、英字 A〜Z と数字 1〜9 は元の CMC-7 のとおりで、それ以外(0 など)は規則にならって作った。実際、ECMA-3 の図と比べると、1〜9 の間隔の並びは規格と同じだが、0 は異なる(規格は短・短・長・長・短・短、このフォントは短・長・短・短・短・長)。版2では、CMC-7 がいまもそれらの字とともにヨーロッパの小切手で使われていると知って、{ | } [ ] の位置に字を足した。ただ、機械で読めるフォントを作るつもりはなく、元の書体の見た目をまねたいだけだとしている53。小文字の位置にも、大文字と同じ形の字が入っている。

作者の当時のサイト(1999年)の CMC7 のページによれば、元にしたのは Lewis Blackwell の『Twentieth-Century Type』で、そこではデザイナーは不明とされていた。ページは同書の「文字認識の方法が粗く、すぐに取って代わられたので、ほとんど求められなかった」という一文を引いているが、実際の CMC-7 は、ヨーロッパや南米の小切手で使われ続けている(使われている国と用途を参照)。当時は、フリーウェアとして配布していた54。

「MICR 方式」の節(p.188-195、p.227)。CMC-7 の成り立ち(REA と CNET の委員会、1963年の第4回 REA での採用)と「CMC 7 文字と原書類」。

1969年版。オリンピアの OCR-MICR 簿記会計機・OCR/MICR タイプライター(p.410、p.582)、オリベッティの MICR オールフィールド エンコーダー(p.569)。MICR の字は CMC 7。

書体見本(p.89、「コンピュータ文字」の頁)。「MICR-CMC7 フォント」として数字と英字。

1987年版(p.87)。見本は初版と同じ。

1990年の改訂版(p.85)。

タイポグラフィ・ハンドブック

「OCR/MICR(自動文字認識)」の項(p.309)。MICR の専用書体として「Bull 社が開発した CMC-7」を挙げる。

  1. Xerox Corporation, Generic MICR Fundamentals Guide, 2003, p.1-3(「Another MICR font, called CMC7, was developed by the French computer company Machines Bull and has been the official French standard since September 1964.」) ↩ ↩2 ↩3

  2. ECMA-3, 2nd Edition, 1966, p.4「1. Character Set」(「There are 41 characters in the set: 10 numerals 0 to 9, 5 symbols, 26 letters」) ↩ ↩2

  3. ISO 1004-2:2013, p.1 ↩ ↩2

  4. ECMA, Comments and Notes on the Standard ECMA-3 for the Printed Image of the CMC7 Font, December 1964, p.1「Introduction」(「In 1959 the Compagnie des Machines Bull presented a design for magnetic ink characters suitable for machine recognition called CMB. Later the font was improved and renamed CMC7 (caractères magnétiques codés à 7 bâtonnets).」)。ECMA の公開する PDF ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7

  5. ECMA, Standard ECMA-3 for the CMC7 Printed Image Specification, 2nd Edition, September 1966, p.3「Brief History」。ECMA の公開する PDF ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6

  6. ANSI X3.2-1970 (R1976) Print Specifications for Magnetic Ink Character Recognition, American National Standards Institute, 1971, Foreword(「The solution to this problem, commonly known as “E-13B,” was formally adopted by the American Bankers Association in December 1958.」「in November 1958, “E-13B” was the unanimous recommendation to the ABA by the OEMC (Office Equipment Manufacturers Committee)」。FIPS PUB 32-1 に添付されたもの) ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  7. ISO 1004-2:2013 Information processing — Magnetic ink character recognition — Part 2: Print specifications for CMC7, Foreword ↩ ↩2

  8. ECMA, Standard ECMA-19 for the Coding of Character Sets for MICR and OCR, June 1969, p.3「1. Purpose」「2. Scope」。ECMA の公開する PDF ↩ ↩2 ↩3

  9. ISO 2033:1983 Information processing — Coding of machine readable characters (MICR and OCR), Second edition, Foreword(「This second edition cancels and replaces the first edition (i.e. ISO 2033-1972).」)、p.1「1 Scope」 ↩ ↩2 ↩3

  10. Banco Central do Brasil, Carta-Circular nº 1.049(1984年7月12日)所収の Resolução nº 885(1983年12月22日)の規定(「o caracter padrão para magnetização de cheques e outros documentos bancários é o do Sistema de Caracteres Magnéticos Codificados em Sete Barras (CMC-7), podendo ser adotado qualquer tipo padronizado pela ECMA」。PDF。2026年10月20日閲覧) ↩ ↩2

  11. FEB(Fédération des Équipes Bull)「Historique CMC7」(J. Barbou des Courrières による1961年2月の Bull の資料にもとづく。2026年9月27日閲覧) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6

  12. 小沢暢夫『電子計算機インプット研究』日本経営出版会、1966年、188ページ「MICR 方式」(国立国会図書館デジタルコレクション) ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  13. 関口茂「文字識別装置」『電気学会雑誌』88巻4号、電気学会、1968年4月、614ページ ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  14. 「BULL−GE, CMC−7リーダー・ソーターを開発 三菱事務機械で輸入販売を検討」『Computer Report』5巻7号(通巻79号)、日本経営科学研究所、1965年7月、89ページ。国立国会図書館デジタルコレクション(「CMC−7はBULL社が開発したMICRにもOCRにも使えるディジタルなコードで、読取りエラー皆無の確実性やコード数の多いことで知られている。」) ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  15. 坂井利之「文字読取装置と音声用装置」『情報処理』6巻6号、情報処理学会、1965年11月、356ページ ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  16. Unicode Character Database「UnicodeData.txt」「NameAliases.txt」(2026年10月20日閲覧)。「2448;MICR ON US SYMBOL;correction」「2449;MICR DASH SYMBOL;correction」 ↩

  17. ISO 1004-2:2013, p.3(4.1 Code description、4.2 Configuration。「The coded character is composed of six intervals contained within seven strokes cut to the shape of a conventional character. Two interval widths are used: “long” and “short”. It is the combination of these “long” and “short” intervals that determines the character code.」) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  18. ISO 1004-2:2013, p.6〜7(10.3〜10.5) ↩ ↩2 ↩3

  19. 小沢暢夫『電子計算機インプット研究』日本経営出版会、1966年、193〜195ページ「CMC 7 文字と原書類」(図8.5「CMC 7 文字」、図8.6「CMC 7 印字行」、写真8.2「CMC 7 印字例」。国立国会図書館デジタルコレクション) ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  20. ECMA, Comments and Notes on the Standard ECMA-3 for the Printed Image of the CMC7 Font, December 1964, p.2〜4「2.1 Design Criteria for CMC7 Character Shapes」 ↩

  21. ISO 1004-2:2013, p.5(9.1.1 Character pitch、9.1.3 Minimum inter character distance、9.1.4 Character width。「The nominal character pitch B may be as small as 3,17 mm.」「The nominal values for characters with one, two and three long intervals respectively, are as follows: A1 = 2,0 mm A2 = 2,2 mm A3 = 2,4 mm」) ↩ ↩2

  22. ECMA-3, 2nd Edition, 1966, p.7(字幅 A1 = 2,0 mm、A2 = 2,2 mm、A3 = 2,4 mm) ↩

  23. Xerox Corporation, Generic MICR Fundamentals Guide, 2003, p.4-18「Character design」(「Unlike the E13B font, the CMC7 characters all have the same width. Each CMC7 character format consist of seven vertical strokes separated by six spaces of 0.3 or 0.5 mm (referred to as short and long intervals). Each character contains two long intervals and four short intervals.」) ↩

  24. ECMA-3, 2nd Edition, 1966, p.6「7.1 Horizontal Character Spacing」(文字送りは 3.17 mm まで小さくでき、1インチ(25.4 mm)に8字まで) ↩

  25. Xerox Corporation, Generic MICR Fundamentals Guide, 2003, p.4-17〜4-18 ↩ ↩2

  26. ECMA-3, 2nd Edition, 1966, p.22(数字と記号の図面) ↩

  27. ISO 1004-2:2013, p.32, Annex A「Use of CMC7 Symbols」 ↩

  28. ECMA-3, 2nd Edition, 1966, p.33「Appendix A Use of Symbols」 ↩

  29. ECMA, Comments and Notes on the Standard ECMA-3 for the Printed Image of the CMC7 Font, December 1964, p.5「2.3 On the choice of four font heights」 ↩

  30. ISO 1004-2:2013, p.4(5, 7.2, 8) ↩ ↩2 ↩3

  31. ISO 1004-2:2013, p.9, Figure 1「Format of documents」 ↩

  32. ISO 1004-2:2013, p.8(16.1) ↩

  33. 坂井利之「文字読取装置と音声用装置」『情報処理』6巻6号、情報処理学会、1965年11月、352ページ ↩

  34. Xerox Corporation, Generic MICR Fundamentals Guide, 2003, p.1-4 の国別の表 ↩

  35. JIS X 9010:1984「機械読取り可能文字の符号(OCR及びMICR)」。字形を規定する規格の表と図形文字集合の一覧(OCR-A・OCR-B・OCR-K・OCR の手書き文字と E13B) ↩

  36. CFONB『Règles et recommandations en matière d’établissement de lettres-chèques』2012年6月、8ページ・14ページ(「Le marquage de la ligne CMC7 des lettres-chèques doit se limiter aux 3 zones de pré marquage : numéro du chèque, codes interbancaires, codes intérieurs.」「NF Z63-001 (caractères CMC7)」。2026年10月20日閲覧) ↩

  37. 藤井修「磁気インク文字読取分類装置」『事務と経営』15巻175号、日本経営協会、1963年12月、80〜82ページ(「すでに述べたように MICRは小切手の分類を第1の目的として 銀行とメーカーの協力のもとに開発された.」。国立国会図書館デジタルコレクション) ↩

  38. 玄地宏「文字読取装置の最近の発展」『電子通信学会誌』51巻6号、電子通信学会、1968年6月、770ページ。国立国会図書館デジタルコレクション(「MICR は国際標準として E-13 B と CMC-7 とよばれる二種類の字体が定められているが,特殊なインクを必要とし,印刷の許容限度もかなり厳しくおさえられているので,書類コストが増大し,改竄をきらう銀行関係以外にはほとんど用いられていない.」) ↩

  39. 藤島正義「磁気インク文字読取装置」『電子技術』10巻14号、1968年12月、29〜30ページ。国立国会図書館デジタルコレクション ↩ ↩2 ↩3

  40. 水谷元彦・真覚静子『基本レタリング』鳳山社、1976年、89ページ(国立国会図書館デジタルコレクション)。真覚静子『基本レタリング』鳳山社、1987年、87ページ。同『改訂 基本レタリング』鳳山社、1990年、85ページ ↩

  41. 小泉均編著『タイポグラフィ・ハンドブック』研究社、2012年、309ページ「OCR/MICR(自動文字認識)」 ↩

  42. The Monotype Corporation, Electronic Reading Founts(見本、1968年12月)。Desk Catalog of ‘Monotype’ Faces 所収、Letterform Archive の Tholenaar Collection(Stephen Coles による写真、Flickr)(「Of the four variations in this system, two different character heights are available as ‘Monotype’ matrices: F1613 (3·2 mm) and F1952 (3·0 mm).」「A set of capitals is also available to match F1952 (3·0 mm)」。2026年10月20日閲覧) ↩

  43. Fonts In Use「CMC-7」(2026年10月20日閲覧) ↩ ↩2

  44. ADI Design Museum「CMC7-7004 magnetic character marking machine」(Mario Bellini、Ing. C. Olivetti & C.、1964年、Compasso d’Oro 1964。2026年10月20日閲覧) ↩

  45. 小沢暢夫『電子計算機インプット研究』日本経営出版会、1966年、227ページ「MICR タイプライタ」(写真8.36「Japy S 29」、図8.13「Japy S 29 の CMC7 印字例」。国立国会図書館デジタルコレクション) ↩

  46. 日本事務能率協会編『ビジネスマシンダイジェスト 1969年版』日本事務能率協会、1969年、410ページ(オリンピア会計機「OCR-MICR 簿記会計機」)、569ページ(オリベッティ「MICR オールフィールド エンコーダー」)、582ページ(オリンピア「OCR/MICR タイプライター」)(国立国会図書館デジタルコレクション) ↩

  47. Xerox Corporation, Generic MICR Fundamentals Guide, 2003, p.4-20, 表4-2「PCL fixed pitch MICR font characteristics」 ↩

  48. TROY Group「MICR Fonts for Check Printing」(「Industry Standard MICR Fonts (E-13B and CMC-7) come included with every TROY MICR Printer」。2026年10月20日閲覧) ↩

  49. IDAutomation「MICR CMC-7 Font」(「These MICR CMC7 fonts were created according to ISO (International Standards Organization) 1004:1995 (E) specifications for MICR printing.」。2026年10月20日閲覧) ↩

  50. Barcodesoft「MICR CMC-7 Font」(「Anyone who wants to use CMC-7 font to print bank check needs look no further.」。2026年10月20日閲覧) ↩ ↩2

  51. フォントファイル「cmc7.ttf」ほか(Barcodesoft。GitHub の bcssupp0rt/cmc7font で取得)の name テーブル(「(c)Copyright Barcodesoft 2004-2005, All rights reserved.」「Version 1.00 April 28, 2006, initial release」)とリポジトリの表示(GPL-3.0、2025年9月作成。2026年10月20日閲覧) ↩

  52. MyFonts「Linotype CMC-7 Std Regular」(2026年10月20日閲覧) ↩

  53. フォントファイル「CMC7」(Harold Lohner、1998年。dafont で配布)の name テーブルと付属の CMC7.txt(「The computer font CMC7 was created by Harold Lohner, 1998, and placed into the public domain by him.」「A-Z and 1-9 are authentic. I made up the rest following the pattern.」「It was not my intention to make a font that would actually be readable to machines; I intend only to mimic the look of the original.」) ↩ ↩2

  54. Harold Lohner「CMC7」(Harold’s Fonts、1999年10月12日の保存。Wayback Machine)(「According to my source, Lewis Blackwell’s Twentieth-Century Type, the designers are unknown. “It found very little demand since its crude methods of character recognition were so soon superceded.”」「CMC7 is freeware.」。2026年10月20日閲覧) ↩