• ゲーム名: ミュータントナイト
  • 開発: ユーピーエル(UPL)
  • 販売: カワクス1
  • 発表: 1987年10月の第25回 AM ショー23
  • 発売: 1987年12月中旬4

『ミュータントナイト』は、ユーピーエル(栃木県小山市)が開発したアーケードゲーム。タイトル画面には、UPL の著作権表示「©1987 UPL CO.,LTD」と並んで、「DISTRIBUTED BY KAWAKUS CO.,LTD」と販売元のカワクス(大阪府東大阪市)5の名前が出る1。

頭が大きな目玉だけの主人公「ミュートロンくん」を操作して、迫ってくる敵を倒していく、横スクロールのゲーム。全部で93のエリアがある。危ないときはジャンプでかわし、ボタンを押し続けると連続でジャンプする。パワーボールを取るごとにジャンプの時間が長くなり、3個目でパワーアップする。出口の穴に入るとエリアをクリアする4。

このゲームは、1987年10月7日から2日間、東京流通センターで開かれた第25回アミューズメントマシンショー(AM ショー)6で、UPL の新作として公開された。業界紙『ゲームマシン』の英文欄は、UPL の「space fantasy game」として、いくつかのディストリビューターの小間で公開されたと伝えている3。

ショーの前の『ゲームマシン』の出展内容の紹介では、ディストリビューターのカワクスの出品の一つに、UPL の「ミュータント・ナイト」を挙げている7。

一方、ショーの後の写真特集では、カワクスの小間は UPL などの新作の TV ゲーム機を中心にした展示とされ8、「ミュータント・ナイト」の名前は思川企画の小間の説明に出てくる。思川企画は、自社のガンゲーム機を中心に、「目玉に手足がついた変異生物がメカ的怪物を倒していくというUPL開発新TVゲーム機」を並べた2。

カワクスの広告は、『ミュータントナイト』を「ミュートロンくんを操作 パワーアップし敵を倒せ」5、「オジャマ虫を避け脱出!」「TVコミカルアクション」9と紹介した。

1988年1月1日号の『ゲームマシン』は「話題のマシン」で、「メカ怪獣倒すコミカルゲーム」として取り上げた。ユーピーエルから12月中旬に発売され、基板販売のみで、オペレーター価格は12万8千円4。

UPL のほかのゲームの評で、引き合いに出されたこともある。フランスのゲーム誌『Joystick』1990年12月号は、UPL の『US.AAF Mustang』を目新しさのないゲームだとし、『ミュータントナイト』や『アトミックロボキッド』のような、いくつものジャンルを混ぜ合わせたゲームをまた出してほしいと書いた10。

ハムスターは、2017年2月16日に PlayStation 4、2021年12月30日に Nintendo Switch で、「アーケードアーカイブス」として配信している1112。紹介文は、UPL の作品の中でも際立って奇妙な世界観とキャラクターがこのゲームの最大の魅力だとしている11。

このゲームの書体は、8×8 ドットの Data 70 系の MICR 書体。字は 7×7 ドットで、右下に影が付く。影は字ごとに描かれていて、本体をずらしただけの形ではない。

大曲都市『アーケードゲーム・タイポグラフィ』(2020年)は、この書体を Data 70 のアレンジとし、太さを中程度に抑えてデザインのぎこちなさを減らしたのは、以前のものと比べて賢い方法だとした。ただ、この書体はその後ほとんど使われなかったとし、UPL は肉太でウェイトのコントラストが強いサンセリフ書体を好んだので、おとなしすぎたのかもしれないとしている13。

この書体は、スコアや操作の説明、ランキングなど、ほとんどの場面の文字に使われている。エンドクレジットになると、別の書体に変わる。字の色は多くの場合激しく点滅していて、影は黒。

アーケードゲーム・タイポグラフィ

解説(p.134、「05 MICR書体」の章)。「ミュータントナイト(UPL/カワクス 1987)」として、英字と数字の一覧。

  1. タイトル画面(1987 [60fps] Mutant Night ALL (Warning: Flashing)、Replay Burners、YouTube)。「©1987 UPL CO.,LTD DISTRIBUTED BY KAWAKUS CO.,LTD」 ↩ ↩2

  2. 「25th Amusement Machine Show 出展各社写真特集」(『ゲームマシン』第319号、アミューズメント通信社、1987年11月1日)p.7、思川企画の小間。「「レーザー77」、「ドラゴン」、「モンスター」、「ガンゴルフ」など同社一連のガンゲーム機を中心に展開。」「また目玉に手足がついた変異生物がメカ的怪物を倒していくというUPL開発新TVゲーム機「ミュータント・ナイト」」 ↩ ↩2

  3. 「New Videos Unveiled At JAMMA Show ’87」Overseas Readers Column(『ゲームマシン』第319号、アミューズメント通信社、1987年11月1日)p.26。「Additionally, UPL’s space fantasy game “Mutant Night”, and Video System’s “Rabio Lepus” were unveiled at the booths of some distributors.」 ↩ ↩2

  4. 「話題のマシン」メカ怪獣倒すコミカルゲーム 目玉がジャンプ UPL「ミュータントナイト」基板(『ゲームマシン』第323号、アミューズメント通信社、1988年1月1日)p.27。「メカ怪獣を倒していくという内容のTVゲーム機「ミュータントナイト」が、(株)ユーピーエル(本社栃木県小山市、鷺谷晴美社長)から十二月中旬発売となった」「これは頭が大きな目玉だけというコミカルな主人公“ミュートロンくん”を操作し、迫ってくる敵を倒していくというもの。画面は、ヨコスクロールする。全部で九十三エリアの展開がある」「基板販売のみでOP価格十二万八千円」 ↩ ↩2 ↩3

  5. カワクスの広告(『ゲームマシン』第319号、アミューズメント通信社、1987年11月1日)p.7。「ミュータントナイト ミュートロンくんを操作 パワーアップし敵を倒せ」「本社 〒577 東大阪市川俣2丁目34番地」 ↩ ↩2

  6. 「大型化進むTVゲーム 国際市場をリードする日本のAMショー盛大に」(『ゲームマシン』第319号、アミューズメント通信社、1987年11月1日)p.1。「JAMMA、JAPEAの二協会共催による第25回アミューズメントマシン(AM)ショーが、十月七日から二日間、東京・平和島の東京流通センター(TRC)で開かれ」 ↩

  7. 「ゲーム機から部品まで カワクス」(『ゲームマシン』第318号、アミューズメント通信社、1987年10月15日)p.11、AM ショーの出展内容の紹介。「総合ディストリビューターとしてアピールする」「⑨UPL「ミュータント・ナイト」」 ↩

  8. 「25th Amusement Machine Show 出展各社写真特集」(『ゲームマシン』第319号、アミューズメント通信社、1987年11月1日)p.11、カワクスの小間と「ディストリビューター 適正供給で市場安定図りDBシップ確立を目指す」。「セガ社、タイトー、ナムコ、コナミ、データイースト、ジャレコ、UPL、ビデオシステムの各社新TVゲーム機を中心に」「今回は専業ディストリビューターとしては、カワクスと総商の二社が出展し」 ↩

  9. カワクスの広告(『ゲームマシン』第321号、アミューズメント通信社、1987年12月1日)p.9。「ミュータントナイト オジャマ虫を避け脱出! TVコミカルアクション」。同じ形の広告は第322号(1987年12月15日)p.3 にもある ↩

  10. 「US.AAF Mustang de UPL」(『Joystick』第11号、1990年12月)p.318。「Rien de nouveau, rien de particulièrement intéressant.」「Qu’attend donc UPL pour nous ressortir un de ces jeux qui comme Mutant Night ou Atomic Robo-Kid savent mêler plusieurs genres? Là c’est du conformisme.」 ↩

  11. ハムスター「アーケードアーカイブス ミュータントナイト」(2026年10月18日閲覧)。配信日は Nintendo Switch が「2021年12月30日」、PlayStation 4 が「2017年2月16日」。「「ミュータントナイト」は1987年にUPLから発売されたアクションゲームです。」「UPL作品の中でもひときわ奇妙な世界観とキャラクターが本作最大の魅力です。」 ↩ ↩2

  12. 「Switch『アケアカ ミュータントナイト』が12月30日に配信。“ミュートロンくん”を操作して奇妙な世界観のステージを進むアクション」ファミ通.com(2026年10月18日閲覧)。「ハムスターは、Nintendo Switch用ソフト『アーケードアーカイブス ミュータントナイト』の配信を、2021年12月30日(木)より開始する。」 ↩

  13. 大曲都市『アーケードゲーム・タイポグラフィ ビットマップ書体の世界』(井原恵子 訳、グラフィック社、2020年)p.134。「書体はData 70のアレンジだが、太さを中程度に抑えることでデザインのぎこちなさを低減している。以前のバージョンと比べて賢い方法と言えるが、この書体がその後も使われることはほとんどなかった。UPLというゲーム会社は肉太でウェイトのコントラストが強いサンセリフ書体を好んで使ったので、上の書体はおとなしすぎたのかもしれない。」 ↩