『マイコン』(月刊マイコン)は、電波新聞社のマイコン雑誌。1977年8月号で創刊した1。日本マイコンクラブが編集に協力した2。

のちに『マイコンBASICマガジン』の編集長になる大橋太郎氏は、後年のインタビューで、電波新聞社が日本マイコンクラブから雑誌づくりを引き受けたと振り返っている。平山哲雄氏の指示で、大橋氏と先輩の田代氏のどちらが担当するかを決め、田代氏が『マイコン』を受け持ったという。『月刊マイコン』ができると、編集部の中でトップだった『ラジオの製作』をあっという間に抜き、広告が入りきらないほどだったとも語っている34。

創刊号の自社広告「マイクロコンピュータがわかる雑誌 マイコン 発刊!」は、マイクロコンピューターを中心に、応用法・利用法をわかりやすく解説するとしている。創刊の時点で、8月号のあと、9月発売の10月号、11月発売の12月号と隔月で出し、その後に月刊へ移る予定と告知した5。創刊号は、発売と同時に売り切れた6。

1992年8月号(16巻8号、通巻179号)の後、『My Computer Magazine』に改題した7。1995年4月号(211号)で休刊した8。

創刊号は、国立国会図書館には所蔵がない(所蔵は1977年10月号から)7。CiNii Books に載っている大学などの図書館(52館)で創刊号を所蔵しているのは、理化学研究所の図書館のみ9。国立国会図書館サーチで所蔵を確かめられる公共図書館の所蔵は1981年以降の号から7。ゲーム保存協会の資料室10と、科学技術継承財団の夢の図書館11には、創刊号がある。

1979年1月号では、ロゴが少し手直しされている。字の骨組みや字の幅と高さの比はほぼ同じまま、全体に画が太くなった。

誌名の「マイコン」は、『マイコン』(月刊マイコン)の誌名のロゴと同じ形。「BASIC」は Data 70。

『マイコンBASICマガジン』は、電波新聞社のパソコン雑誌。1981年5月に『ラジオの製作』の別冊付録として始まり、1982年7月に独立して創刊した。愛称は「ベーマガ」。読者が投稿したプログラムを、機種ごとに載せていたのが特徴12。

大橋氏の後年の回想によると、『ラジオの製作』の別冊付録は、マイコンの雑誌が売れるかを試すために始めたもので、最初はモールス符号の自動送受信などのプログラムを載せていた。ハドソンの工藤裕司氏に相談すると「ゲームだよ」と言われ、ゲームのプログラムの投稿を募るようになったという34。

部数は、1983年7〜12月に『月刊マイコン』を上回った(販売部数を参照)。後藤邦夫『情報化時代の新ビジネス』(1985年)では、工学社の『PiO』と並べて「ゲームプログラム投稿専門誌とも言える」雑誌として紹介されている13。

2003年5月号(22巻5号、通巻251号。4月8日発売)で休刊した1415。

2018年12月19日発売の、電波新聞社の季刊誌『電子工作マガジン』2018年冬号の別冊付録として、15年ぶりに復活した16。2019年夏号からは、別冊付録として定期化された17。『電子工作マガジン』は、2025年9月19日発売の2025年秋号で定期発行を終えた18。

『月刊マイコン』の部数は、1983年前半には約14万部に達した。『マイコンBASICマガジン』は、ABC の表に載る1983年前半の約12万部から、1984年前半には約18万部に伸び、1983年後半には『月刊マイコン』を上回った。

日本ABC協会の雑誌部数表による、半期ごとの部数(発行社レポート)19202122。比較として、『月刊アスキー』と『ラジオの製作』も並べる。

マイコンソフトは、電波新聞社のソフト部門。1983年10月に、電波新聞社の出版部の「マイコンソフトウェア開発室」として発足した23。大橋氏の後年の回想では、平山氏がナムコからアーケードゲームの十数本のライセンスをまとめて取り、社内にゲームを作る開発室を作ったという34。当時の国産パソコン向けに、ゲームソフトを開発していた24。ナムコのアーケードゲームのパソコンへの移植などを手がけた25。

1991年4月に、電波新聞社が100%出資するマイコンソフト株式会社として独立した。2018年10月に電波新聞社と合併して、電波新聞社のマイコンソフト事業部になった2325。現在は、大阪で映像機器の企画・開発・製造・販売をしている23。

開発室の発足より前から、電波新聞社のソフトの販売に「マイコン・ソフト」「マイコンソフト」の名前が使われていて、現在とは異なるロゴもあった。縦長の字の「マイコン・ソフト」は、『マイコンBASIC講座①』(1981年10月初版)や『マイコンBASICマガジン』1981年12月号の電波新聞社の広告に見られる2627。『マイコンBASIC講座①』の巻末広告の「マイコンソフト パッケージ」のロゴも、「ソフト」の字形が現在のロゴと異なる2628。

大橋氏の後年の回想によると、電波新聞社のソフトの販売は、ハドソンが通信販売していたカセットテープのソフトを、電波新聞社が全国の支局を通じて卸すことから始まった3。1981年12月号の広告にも「発売 電波新聞社 開発 (有)ハドソン」とある27。

電子工作マガジン 2025年 秋号
  1. 「月刊マイコン」Wikipedia(2026年10月2日閲覧) ↩

  2. 『マイコン』1977年8月号(電波新聞社)の表紙(「日本マイコンクラブ編集協力」「昭和52年8月1日発行 第1巻第1号」) ↩

  3. 木村めぐみ・井上明人・福田一史・鴫原盛之・松井彩子「大橋太郎第1回インタビュー後半:生い立ち~電波新聞社入社当時の業務内容」(IIR Working Paper WP#19-12、一橋大学イノベーション研究センター、2019年2月)p.9〜14(「あれは日本マイコンクラブっていうところから引き受けたんです」「それで、付録という形にして薄い付録をつけたんです」「パソコンのソフトの流通を始めたんですね、これは僕が仲介しただけなのですが」。2026年10月23日閲覧) ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  4. 「【特別インタビュー】大橋太郎さんが語る『マイコンBASICマガジン』の歴史」RetroPC NEWS(2026年4月28日。「日本マイコンクラブから「マイコン」を雑誌として作ってくれと、二代目社長(平山哲雄氏)から指示がありました」「ナムコさんから15タイトルのライセンスをまとめて買ってきてしまった」。2026年10月23日閲覧) ↩ ↩2 ↩3

  5. 『マイコン』1977年8月号(電波新聞社)の自社広告(「本誌はこの「マイクロコンピュータ」を中心に,応用法,利用法をわかりやすく解説し」「本号(8月号)以降,9月発売(10月号),11月発売(12月号)と隔月で発行し,それ以降月刊に移行すべく進行いたしております。」) ↩

  6. 『マイコン』1977年10月号(電波新聞社)の自社広告 ↩

  7. 「マイコン」国立国会図書館サーチ(2026年10月24日閲覧。「所蔵巻次等:1巻2号通巻2号(1977年10月)-16巻8号通巻179号(1992年8月)」「刊行巻次:1巻1号通巻1号(1977年8月)-16巻8号通巻179号(1992年8月)」「『My computer magazine』と改題」。全国の図書館の所蔵は、神奈川県立川崎図書館〈1981〜1992年〉、滋賀県立図書館〈1981〜1992年〉、宮城県図書館〈1983〜1992年〉など) ↩ ↩2 ↩3

  8. 佐々木潤「電波新聞社・『月刊マイコン』~ 想い出の“20世紀パソコン雑誌”たち ~」AKIBA PC Hotline!(2025年12月16日。2026年10月2日閲覧) ↩

  9. 「マイコン」CiNii Books(「国立研究開発法人 理化学研究所 図書館 1977-1984 1(1-3),2(1-8,10-12)…」。2026年10月24日閲覧) ↩

  10. 「資料室リスト」ゲーム保存協会(「月刊マイコン(電波新聞社) 閲覧可能:1977年8月創刊号から1990年3月号まで」。2026年10月24日閲覧) ↩

  11. 「夢の図書館 蔵書一覧表」夢の図書館(「マイコン 電波新聞社 1977年8月1日 … 1990年8月1日 … 71」。2026年10月24日閲覧) ↩

  12. 「マイコンBASICマガジン」Wikipedia(2026年10月2日閲覧) ↩

  13. 後藤邦夫『情報化時代の新ビジネス』(旺文社文庫、旺文社、1985年2月)。国立国会図書館デジタルコレクション ↩

  14. 「「マイコンBASICマガジン」休刊のお知らせ」マイコンBASICマガジン編集部(2003年3月25日。Internet Archive に保存されたもの。2026年10月2日閲覧) ↩

  15. 「マイコンbasic magazine」国立国会図書館サーチ(2026年10月2日閲覧。「[1巻1号=1号] - 22巻5号=251号(2003年5月)」「以後休刊」) ↩

  16. 「<別冊付録として懐かしの「マイコンBASIC Magazine(ベーマガ)」が復活!!>電波新聞社が季刊誌「電子工作マガジン」2018年冬号を刊行」hamlife.jp(2018年12月14日。2026年10月2日閲覧) ↩

  17. 「ベーマガが付録として定期化! 「電子工作マガジン 2019年夏号」が発売」AKIBA PC Hotline!(2019年6月19日。2026年10月2日閲覧) ↩

  18. 「『電子工作マガジン2025年秋号』が9月19日(金)に発売」電波新聞社(2025年9月17日。2026年10月2日閲覧) ↩

  19. 「ABC雑誌部数表」(メディア・リサーチ・センター 編『雑誌新聞総かたろぐ 1982年版』メディア・リサーチ・センター、1982年3月)。国立国会図書館デジタルコレクション。1981年1〜6月(ラジオの製作) ↩

  20. 「ABC雑誌部数表」(メディア・リサーチ・センター 編『雑誌新聞総かたろぐ 1983年版』メディア・リサーチ・センター、1983年7月)コマ59・コマ60。国立国会図書館デジタルコレクション。1981年7〜12月と1982年。月刊アスキーの1981年は10〜12月の平均 ↩

  21. 「ABC雑誌部数表」(メディア・リサーチ・センター 編『雑誌新聞総かたろぐ 1984年版』メディア・リサーチ・センター、1984年7月)。国立国会図書館デジタルコレクション。1983年 ↩

  22. 「ABC雑誌部数表 1984年」(メディア・リサーチ・センター 編『雑誌新聞総かたろぐ 1985年版』メディア・リサーチ・センター、1985年7月)。国立国会図書館デジタルコレクション。1984年1〜6月(7〜12月は月刊マイコン・マイコンBASICマガジンとも空欄) ↩

  23. 「会社概要」マイコンソフト製品ホームページ(2026年10月2日閲覧) ↩ ↩2 ↩3

  24. 「電波新聞社」Wikipedia(2026年10月2日閲覧) ↩

  25. 「マイコンソフトを電波新聞社が吸収合併」ITmedia NEWS(2018年8月16日。2026年10月2日閲覧) ↩ ↩2

  26. 『マイコンBASIC講座①』(電波新聞社、1981年10月初版)の広告 ↩ ↩2

  27. 『マイコンBASICマガジン』1981年12月号(『ラジオの製作』1981年12月号の別冊付録、電波新聞社)の電波新聞社の広告「Dempa マイコン・ソフト」 ↩ ↩2

  28. 『マイコンBASIC講座①』(電波新聞社)第3刷(1982年3月30日発行)の巻末広告「特選 マイコンソフト パッケージ No.2」(「MICRO COMPUTER SOFT PACKAGE」「PC-8001編」「電波新聞社出版販売部」) ↩