• ゲーム名: スペースポジション(SPACE POSITION)
  • 開発: 大平技研工業(ナスコ)12
  • 販売: セガ・エンタープライゼス1
  • 発売: 1986年7月25日1

『スペースポジション』は、大平技研工業が開発し、セガが独占販売権を得たアーケードゲーム。タイトルの画面の著作権表示「1986 © SEGA/NASCO」3にある「NASCO」は、大平技研工業(岐阜県関市)が使っていた名前456。

『ゲームマシン』は、未来都市でのカーレースのゲームで、1人用ではコンピューターの車と、2人用では相手のプレイヤーの車と競い、2台の車の距離が開くと画面が上下に分かれて、上に先頭の車、下に後ろの車の走る場面が映るのが最大の特徴とした1。

同紙によると、ステージは全部で7つ。タイマーの時間内に、燃料がなくならないうちにゴールすればクリアとなる1。

4方向のレバーと、アクセルとジャンプの2つのボタンで操作し、他の車や障害物をよけながら走る。障害物はウイリーやジャンプでもかわせるが、燃料を激しく消費する。燃料が少なくなるとガソリンスタンドで給油でき、途中でオレンジ色の車をウイリーで取ると、しばらく「スーパーバリアカー」になって、他の車や障害物をはね飛ばして走れる1。

2人用では、どちらかがゴールすれば2人ともクリア。衝突、タイマー切れ、燃料切れで1台を失い、3台を失うとゲームが終わる1。

セガは筐体を付けずに基板だけで売り、ゲームセンターなどのオペレーター向けの価格は13万5千円だった1。

『ゲームマシン』のヒットチャートでは、1986年9月1日号で、テーブル型の TV ゲーム機の19位に初めて入った(評価は5.17。5は「平均的なもの」)7。次の9月15日号では25位までに入っていない8。

このゲームの書体は、8×8 ドットの Data 70 系の MICR 書体。字は影を含めて幅 7・高さ 7 ドット。字の本体の左に、1ドットずらした、本体とは別の色の影が付く。

大曲都市『アーケードゲーム・タイポグラフィ』(2020年)は、この書体を「Data 70を傾けた書体」とし、「「未来」と「スピード」のコンセプトをみごとに融合させている」と評価した。太さが段違いになった縦画を、内側ではなく外側に肉付けしているのは「斜体に見せるシンプルで上手な技だ」とする9。同書は、ビジョンエレクトロニクスの『アルファワン』(1988年)の書体も、『スペースポジション』と同じ斜体の表現を取り入れているとしている10。

この書体は、ランキング、ステージの終わりの集計、エンディングなどに使われている。

画面に同時に出す文字の色ごとに字のデータが用意されていて、色によって1〜2ドット違う字がある。たとえば 5 には右下の縦画が太いものが、2 には真ん中の横画が左に長いものがある。この記事の見本と比較の図は、画面で多く使われている字形で示した。

アーケードゲーム・タイポグラフィ

解説(p.133、「05 MICR書体」の章)。「スペースポジション(ナスコ/セガ 1986)」として、英字と数字の一覧。p.138 に字の拡大図。

  1. 「話題のマシン」大平技研開発TVカーレース基板 画面が2分割に(『ゲームマシン』第290号、アミューズメント通信社、1986年8月15日)p.17。「カーレースがテーマのTVゲーム機「スペースポジション」が七月二十五日」「いずれも(株)セガ・エンタープライゼス(本社東京、中山隼雄社長)から発売となった」「「スペースポジション」は大平技研工業(株)が開発し、セガ社が独占販売権を得たもの」「二台の車の距離が開くと画面が上下に二分され、上の画面に先頭車、下の画面に後の車の走行場面が映し出されるのが最大の特徴」「基板販売のみでOP価格十三万五千円」 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8

  2. 「話題のマシン 総目録 No.44(第289号〜第293号)」(『ゲームマシン』第295号、アミューズメント通信社、1986年11月1日)p.24。「スペースポジション 大平技研開発による未来都市でのTVカーレースゲーム機。2台の車が競走し、画面が2分割する。基板販売のみでOP価格13万5千円。【セガ社】No.290」 ↩

  3. タイトルの画面(SPACE POSITION 1986 SEGA 【Arcade】 エンディングまで、ゲーセンYOUGO / Arcade YOUGO、YouTube、0:26)。「1986 © SEGA/NASCO」 ↩

  4. 大平技研工業の『レスキュー・バイオン』の広告(『ゲームマシン』第262号、アミューズメント通信社、1985年6月15日)p.10。「YUVOマザーボードシステム 第1弾!」「1985 ©NASCO」「大平技研工業株式会社 本社工場 岐阜県関市小瀬2665-2」。社名の左に、地球の絵に「NASCO」「YUVO」と添えたマーク ↩

  5. 「Game Machine’s Best Hit Games 25」(『ゲームマシン』第276号、アミューズメント通信社、1986年1月15日)p.21。テーブル型TVゲーム機の16位に「マスターズゴルフ(大平技研)Master’s Golf (Nasco Yuvo)」 ↩

  6. 赤木真澄 編集『アーケードTVゲームリスト 国内・海外編(1971-2005)』(アミューズメント通信社)p.22。「大平技研 Yuvo/Nasco」の欄に「84/06 クラウンズゴルフ(via Sega)」「86/07 スペースポジション(via Sega)」 ↩

  7. 「Game Machine’s Best Hit Games 25」(『ゲームマシン』第291号、アミューズメント通信社、1986年9月1日)p.23。テーブル型TVゲーム機の19位(前回は「-」)に「スペースポジション(セガ社)Space Position (Sega)」、評価5.17。評価の数字の意味は「5:平均的なもの」 ↩

  8. 「Game Machine’s Best Hit Games 25」(『ゲームマシン』第292号、アミューズメント通信社、1986年9月15日)p.21 ↩

  9. 大曲都市『アーケードゲーム・タイポグラフィ ビットマップ書体の世界』(井原恵子 訳、グラフィック社、2020年)p.133。「Data 70を傾けた書体は、「未来」と「スピード」のコンセプトをみごとに融合させている。太さが段違いになったステム(縦画)を、内側ではなく外側に肉付けしているのは、斜体に見せるシンプルで上手な技だ」 ↩

  10. 大曲都市『アーケードゲーム・タイポグラフィ ビットマップ書体の世界』(井原恵子 訳、グラフィック社、2020年)p.136。アルファワンの解説に「〈スペースポジション(p133)〉と同様の斜体表現を取り入れている」 ↩